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堤防仕掛け・ボウズのがれ


[今回の調理人] [今回の食材]
和の吉井 フナムシ
   

材料:フナムシ(30匹)
塩・こしょう・玉子・レモン汁
にんにく・片栗粉
砂糖・しょうゆ・ケチャップ・酢
ゴマ油・水  など
[主催者より]  
 皆さんはフナムシをご存知だろうか?
そう、堤防やテトラあたりにいる、ゴキブリのような生物である。節足動物で頭部に長めの触角、腹部には先が二股に分かれている尾脚が生えている。
胸部は7つの体節に分かれ、それぞれ一対の足が生えているアレだ。
 前回の鯉・ブルーギルから約2ヶ月強の充電期間を頂いた我々は、ついに禁断のフナムシ料理に手をつけることを英断した。フナムシの産卵シーズンでもあり、まさに今こそ美味・・・だろうと判断した。
        
 兵庫県津居山港の某所(乱獲防止と資源保護の為に詳しい場所はお教えできない)でフナムシが大量にいるとの情報を、ある信頼できる筋から入手した我々は料理人と共に現場に急行した。フナムシに警戒されぬよう、夜中2時頃から捕獲を始め、30分ほどの間に約70匹捕獲した。
 あのすばしっこいフナムシをどうやってゲットしたのか疑問に思われる方もいるに違いない。しかしやはりこれも乱獲防止の為に秘密とさせて頂く。
そして鮮度を損なうことのないように充分配慮したうえで、グルメ探検隊特設専用キッチンへと運ばれたのであった・・・



[レシピ]
 
 活きたままのフナムシをボウルにあげる。この際、指をボウルの中にいれると、うじゃうじゃ指から登ってくるため気をつけること。 フナムシを軽く湯通しする。熱湯の中に放り込む。この際、決して匂いをかがないこと。その匂いをかぐと食欲がなくなるため。 熱湯の中で卵が浮いてきたり、ごく小さな子が大量に浮いてきても決して見ない事。見ると後悔することになる。 下処理の終わったフナムシをよく冷水で洗い、下味をつける。 塩・こしょう・卵・レモン汁・にんにく・片栗粉で下味をつけること。次にこれを約180度の油でカラッと揚げて油をきっておく。 次に甘酢あんを作る。塩・砂糖・しょうゆ・ケチャップ・酢・片栗粉・ゴマ油・水を使用して作り、トロっとなるようにしておく。好みによって揚げたフナムシの足を取った上で皿に取り分ける。薬味のネギ、しその葉などできれいに盛り付けて完成だ。
フナムシのチヂミについては料理人の希望により公開できないことをお許し願いたい。
         
 いずれにしても、この料理で大切な事は、「なんで俺こんなことしてんのやろ?」とか、「俺達ひょっとしてアホなんと違うかな?」とか決して考えない事だ。何事も勢いが大事。テンションを高くあげないととても無理だろう。


フナムシ フナムシ フナムシ
食材を湯通しする所。しかしこの後、なんともいえぬニオイが… 湯通しした食材に下味をつけている。手触りはなんともいえない… 軽く揚げた食材とチジミの作りかけ…。グ、グロすぎ…



[試食]
 
 今回の試食人は総隊長Mr.Xと料理人高木、そして料理人松下である。
まずは今回のメインシェフ、「中」の松下から総隊長Mr.Xに報告があった「旬のフナムシということで、捕獲した中から脂ののってそうなもの30匹を厳選して使用しました。今回の料理は2品です。1つは「フナムシの北京風あんかけ」です。フナムシの香ばしい風味をあんの中に閉じ込めた自信作です。そしてもう1つは「フナムシチヂミ」です。フナムシを細かく刻み、チヂミのつなぎとして利用しました。是非ご賞味ください」 


あんかけ つみれ
今回のメインシェフ松下の自信作「フナムシの北京風 韓国風チヂミをアレンジした「フナムシチヂミ」現場で取れたカニ

 そして料理人松下自らその2品をMr.Xのもとに運んだ。トレードマークであるサングラスの奥の表情は読み取る事ができないが、いつもの通り氏は黙ってじっと運ばれた料理を見つめている。そしておもむろにその顔を料理人松下の方へ向けた。「・・・味は確かなのであろうな?」すると松下が答えた。「私のプライドに賭けて、フナムシの風味を存分に引き出した逸品と確信しております。」          
 ふんふんと頷くMr.Xの額に汗がにじんでいる事を私は見逃さなかった。
やがてMr.Xはゆっくりと箸を持ち、まずは「北京風あんかけ」に箸をつけた。しかし・・なぜかメインのフナムシではなく、薬味のネギをムシャムシャ食べている。我慢できなくなったのか、それまで黙っていた今回のサブシェフである高木がMr.Xに噛み付いた。「なぜメインのフナムシを食べないのですか?あなたは総隊長でしょ?」
          
 ふいにMr.Xの眉がピクッと動き、高木を見やった。
「高木よ、おまえは料理というものがまだ分かっていないようだな。愚か者めが!」 高木はプライドを傷つけられたのか、顔を真っ赤にしている。
 Mr.Xは続けた。「料理にも芝居にも主役がいる。しかし主役というのは、脇役があってこその主役なのだ。主役にばかりスポットライトをあてることは素人のすることだ。お前にはそれが分かっていない。この料理を見ろ! なぜネギがあるのか理解しているのか?私には分かる。このネギがないとこの料理は死んでしまう事を。だからあえて私はまずネギを食したのだ。
このネギの歯応え、そして甘み・・・大阪泉南産のネギに違いない。それくらい私は脇役にあえてこだわるのだ。それこそがプロだ!」
          
 すると料理人松下が言いにくそうに口を挟んだ。
「あのー、このネギはスーパーのチラシに載ってた中国産のネギでしゅけど・・・」 Mr.Xは唸った。「ぬぅ・・・。まあ良いだろう・・。では主役を頂くとしよう。」動揺を隠せないMr.Xではあるが、大きめのフナムシを口に運んだ。表情は固まっている。しかし・・2匹、3匹ほど食べたろうか・・・。そしてこう言い放った。

 「うむ、フナムシの風味というか・・・オリジナリティが出ておる。さすがは中の松下だ。あんの味も見事だ!」 松下・高木両氏は顔を見合わせ、恐る恐る、という感じで一匹食べた。しかし・・・よく見るとMr.Xは水を大量に飲んでいる・・・「グエッ!」と松下は洗面所に駆け込んだ。しかし高木は、さすがにヒトデを食べた経験があるだけに冷静だ。「まあ、喰えないことはないですね・・・」 満足そうに頷くMr.Xは次にチヂミを食した。
 「・・・なんとも香ばしいチヂミだ。しかし松下よ!お前はミスを犯した。フナムシの足があちこちはみ出しておる。見てくれが良くないことが分かるか?」 
         
 「申しわけありません!」平身低頭の松下だが・・・。
細かく刻んでいるために、なんともいえない味のようだ。するとMr.Xは急に立ち上がり、「それでは・・私は次のアポイントがあるのでこれにて失礼・・・」呆然と見送る2人を前に、それこそまるでフナムシのようにサササッとその場を去った。しかし・・・Mr.Xがその後洗面所に向かったのを私は見逃すはずもなかった。 そして翌日・・・料理人高木は下痢をした。しかしこれも病める日本社会の為だ。我々はさらに歩きつづける・・・だろう。ただ入院するとシャレにならないため、今後は綿密な調査をしたうえで食すことにする。次回は様々な食材のリクエストを頂いた中から、ゴンズイかイソギンチャクを予定している。
   ・・・しばらく充電してからとなるだろう。ご理解いただきたい。



 
 
評価:3ツ星満点評価
レア度 星 星 星
テイスト度 星    
おすすめ度 星    
総合 星    

総評:…述べるまでもなし。
ひょっとして僕たちアホなんかな?
どう考えても…喰えない。
そもそも健康に害のある可能性あり、決してマネしないように。
…するわけないよね…

次回は…ゴンズイかイソギンチャクを扱う予定! お楽しみに!

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